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「優しいから、ちゃんと受け答えしてるでしょう? 武良くん、面倒でも、無視とか絶対しないから。だから返事がひと言でも、優しくてクールでかっこいい! ってことになっちゃってると思う」
「そんなことないと思うけど……」
もう一度、武良くんの机周辺に立っている女子達をよく観察する。確かに武良くんにかわるがわる質問している様子は、態度が冷たいと怒るよりも楽しそうに見える。
「ええっと。少しはあるかもしれないけど。でもすぐあきると思うよ」
わたしは麻衣ちゃんをはげますように、明るく自信まんまんな声で言った。
「たまたま校長先生の話で、話題になっただけで、明日にはもういつも通りになっているよ、きっと」
「そうだといいけどぉ」
麻衣ちゃんは「はぁ」とため息をついた。
「大丈夫だって! ほら、コックリさんのお答えを思い出してみてよ」
「うん」
コックリさんは、武良くんの好きなコの名前を、「ま」「い」と示してくれた。麻衣ちゃんはうなずいたけれど、「でもぉ」とまたすぐにうつむいてしまった。
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