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「コックリさんってね、自分が願ってることを無意識に答えちゃったりするんだって。動かしているつもりがなくても」と麻衣ちゃんが小さな声で言った。  わたしもコックリさんが迷信だということは聞いたことがあるし、ついこの間、高橋先生もデタラメだって言っていたばかりだ。  だけどわたしは、この前のコックリさんは、特別だった気がしていたんだ。  そりゃあ、鳥居が大きくなって、声を聞いたのはわたしだけだったけど、そのふたつがなかったとしても不思議な体験だった……と思ったんだけど、麻衣ちゃんはちがったのかな……。  ガッカリしたけれど、麻衣ちゃんがコックリさんの回答をもう信じていないなら、本当だと言い張るのもおかしい気がした。  だからわたしの本当の気持ちとはちがうけど、麻衣ちゃんに同意しようとした。 「そ」  そうなんだ、と言おうとしたら、なんだか強い視線を感じたんだ。  ハッと見ると、伊奈利がわたしをジッと見つめている。その瞳はまるで、心の奥底まで見通すような、ひんやりした目だった。冷たいわけじゃない。冷静に見きわめようとしているけれど、その根っこには期待みたいな熱さがひそんでいるみたい。
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