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「いつもお見守りくださってありがとうございます! わたし、水瀬色葉もお父さん、ママ、お兄ちゃんも元気です。今日もよろしくお願いします」
いつもの決まりセリフを心の中で早口言葉みたいに唱える。お祈りするときは、最初に神様にお礼を言わなくちゃダメというのは、おばあちゃんが教えてくれたことだ。
「あっ、それと、良いクラスになりますように」
お願いごとをひとつ追加してから、ペコリと頭を下げた。なんといっても今日から小学校における最高学年、6年生なんだ。修学旅行もある。
仲のいい子と同じクラスになりたい。とくに親友の朝倉麻衣ちゃんと。
わたしは遅刻しそうなことを思い出して、あわててまた走り出そうとしたんだけど……
『9999回……9999回だ! 9999回だぞ……9999回……』
という声が、どこからともなく聞こえてきた! 一体誰の声で、9999は何を意味しているんだろう?
考えても、謎を解くヒントすら思いつかない。わたしは不気味な声から逃げ出すように、あかつき小学校まで全速力で走った。そのせいでなんとか遅刻しないですんだのはラッキーだった……のかもしれない。
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