7/33
前へ
/112ページ
次へ
 新しいクラスは6年1組。  窓から二番目の列の一番うしろ。それがわたしの席だった。  クラスメイトをチェックしたいのは山々だけど、まだ息がきれていて、とても無理。わたしは机につっぷして、ゼイゼイと肩で息をついた。 ――あの声、なんだったんだろう? 9999回って言っていたよね。9999回ってなんの数字だろう? 9999回に関係することなんて、あったかなぁ? 「色葉ちゃん、おはようっ」 「あっ、麻衣ちゃん」  声をかけてきたのは、親友の朝倉麻衣(あさくらまい)ちゃんだった。5年生の時も同じクラスだったんだ。 「また色葉ちゃんと一緒でうれしい!」  麻衣ちゃんはにこにこ笑っている。くせっ毛が肩のところでクルクルしてゆれている。まっすぐストレートなわたしの髪とは対照的だ。 「うん、わたしもうれしい! 今年もよろしくねー」  麻衣ちゃんと話していると、自然とニコニコしちゃう。  さっきの変な声の事は、あっという間に頭から消え去った。9999回なんてどう考えても思い当たることはないし、たいした問題じゃないような気がしてきた。
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!

83人が本棚に入れています
本棚に追加