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水音を頼りに薄暗い空間を歩く。しばらく行くと大きな川が行く手を阻んでいた。川幅は広く、灰色の水が流れている。 ぼんやりだが川中には中州があり、そこを経由する形で2本の太鼓橋が掛かっているのが見える。向こう岸へ渡れそうだ。 岸辺と橋の境目に小さな石像がある。何の生き物だろうか、小さな両手で耳を塞いでいるように見える。 自分の足元すら見ることができない暗さからは脱することが出来たらしい。 洞窟を抜けたということは、もう目を閉じている必要も無さそうだと思い恐る恐る周囲を見回す。 先ほどまで近くにいたらしい存在は、もう居ないのだろうか……? 555b38fb-3bb8-480b-82dd-740dfd192aa0 「川、か。」 何でもないことのように言ってみる。 目の前には、やはり石像。 今度は耳を塞いでいるようだ。両手がふさがることは確定したが見えている分いくらかましだろうか。 「耳を手でふさいだところで音が聞こえなくなるわけじゃないけどそこらへんはいいのかな。」 何にせよ指示には従うけど。 両手で耳を塞いでから、橋を渡ることにした。 手前の橋を渡り始める。 ≪目星≫ 森谷友己(もりや ともき) : CCB<=78 目星 (1D100<=78) > 45 > 成功 水面を見る。時折こぽこぽと気泡が浮かんでくる。魚だろうか。それにしては泡が大きい。もっと大きなモノが水中にいるのではないか。嫌な想像が脳裏をよぎる。水は灰色に濁り底を見ることはできない。 ☆正気度喪失 0/1 森谷友己(もりや ともき) : 1D100<=71 正気度ロール (1D100<=71) > 12 > 成功 そういえば、目が見えているといっても水中は灰色で水底は全然見えていない。綺麗に透き通った川ばかりではないが、こんなに濁っているのは最早どぶなのでは。橋が架かっていたのは僥倖だ。この濁り方をしている川に入るのはさすがに避けたい。 弓形の太鼓橋を越え小さな中州へ降りる。橋が視界を遮って見えなかったが、白い着物を着た長い髪の女がうずくまっている。 ≪隠れる≫または≪忍び歩き≫ 森谷友己(もりや ともき) : CCB<=10 隠れる (1D100<=10) > 90 > 失敗 遮蔽物もない橋の上で、一体どこにどうやって隠れればいいというのか。 一瞬でも隠れた方が良いのではと思った自分を詰る。 この異様な空間で他人と関わることは極力避けたかったが……仕方ない。 彼女の背後をそっと通り抜けようとするが、足元の砂利を踏みしめた感覚がある。 ゆっくりと彼女が振り返る。 女は思いがけない速さで這いずり、あなたの背後から首元へ腕を回して縋りつく。乱れた髪の隙間から乾いた唇だけが覗く。あなたに対して延々と何か話しかけているようだ。 ☆正気度喪失 0/1 森谷友己(もりや ともき) : 1D100<=71 正気度ロール (1D100<=71) > 73 > 失敗 SAN : 71 → 70 なんだ、この女……。3583e820-3094-4f30-a018-69cccb74c51a 気安く触られるのは好きじゃないし、そもそも気味が悪くて怖気が走る。 耐えきれずに突飛ばそうとしてしまう前に離れて欲しい。 何か言っているのは分かったが、こちらとしてはせめてもの抵抗として一切耳を貸す気はなかった。 女はあなたの背中へぶら下がり、何かを必死に訴えている。 「諄い。あと重い。」 手が使えない状態で抵抗するのも難しい、と感じ、強めの言葉でもって拒否することにする。 「悪いけど。」 言葉選びの割には語気荒く意志表示する。 「行きずりの女と関わる気はない。話しもしないし、連れてもいかない。……手を離せ。」 ≪STR 5との対抗≫ 森谷友己(もりや ともき) : RESB(6-5) (1d100<=55) > 49 > 成功 やせ細った女の身体は枯れ木のように脆い。あなたは女の腕を振りほどくことができた。彼女は足がよくないようだ。橋の方まで逃げれば追っては来ないだろう。 何とかなった。 思わず出たため息が思ったより不機嫌で、我ながら苦笑を禁じ得ない。 二つ目の橋を渡り始める。 まだ川の上だ。 油断しない方がいいだろう。先ほどの女のような存在が次の橋の先にいないとも限らない。 耳を塞いだまま次の橋も渡ることにする。 ≪目星≫ 森谷友己(もりや ともき) : CCB<=78 目星 (1D100<=78) > 89 > 失敗 水面が不自然に波打っている。ごぽりと大きな泡が浮いて白い顔が突き出した。一つや二つではない。そこらじゅうに無数の亡者(もうじゃ)が流れていた。眼球の腐り落ちた虚ろな眼窩(がんか)に黒を湛えている。 ☆正気度喪失 0/1d4 森谷友己(もりや ともき) : 1D100<=70 正気度ロール (1D100<=70) > 15 > 成功 あぁ。本当に橋が架かっていてよかったな。 こんなところで死者と一緒くたにされては敵わない。 半ば感覚が麻痺してきてるのだろうか。 何を落ち着いて観察してるのかは分からないが、この亡者の群れを見ても不自然に冷静さを保っている。 橋を渡り終える。周囲を見渡せば、川岸から遥か遠くに小さく明かりが見える。他に行く当てのない今、向かってみるのが妥当だろう。
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