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黄泉平坂
◆第1ラウンド
御簾から溢れる灰色の粘液ががらんどうの広間に充満していく。大蛇のようにのたうつ触手があなたを捉えようと手を伸ばす。
「……っ……!」
そう簡単にはいかないか、と。
奥歯を食いしばる。
この化け物の攻撃を、何とか掻い潜るくらいなら……“できる”
森谷友己(もりや ともき) :
CCB<=73 回避 (1D100<=73) > 61 > 成功
触手を避けることができる。灰色の粘液を撒き散らす触手があなたの真横をかすめていった。
「こちらです!屋敷の外へ!!」
女性の声に弾かれるように、あなたは踵を返し屋敷の外へ転がり出る。
詰めた息を吐きながら駆けだす。
持久力も自慢できるほどは無いが、この際心臓が潰れるまで動いてでもここから逃げ出さなければならない。
◆第2ラウンド
建物の入り口から女性が顔を覗かせて叫ぶ。
「寝殿の裏手からまっすぐ進んで。現世への出口は高い所にあります。坂を上るように行けば自ずと分るでしょう。」
彼女は裾(すそ)の長い裳(も)を着ている。走ってあなたを案内することは出来なそうだ。
暗闇を当てもなく走る。徐々に道が傾斜してくるのが分かるだろう。見回せば、僅かに闇の薄い場所がある。あなたの行く手に文字通りの光明が差した。
同時に、背後に迫る気配に気づく。爛れた灰色の皮膚を引きずる鬼女たちが四つ足で駆けてくる。
※鬼女の数を1d3で決定する。回避または応戦する。
1d3 (1D3) > 3
「参ったな……」
冷や汗が背中を伝う。
3体……往なし切れるだろうか。
荒事は勘弁してもらいたい。そう思いつつ、目を釘付けにする。その動きを見切らなければ。
〈鬼女〉かぎ爪 60%
CCB<=60 (1D100<=60) > 11 > スペシャル
CCB<=60 (1D100<=60) > 14 > 成功
CCB<=60 (1D100<=60) > 5 > 決定的成功/スペシャル
森谷友己(もりや ともき) :
CCB<=15*5 DEX×5 (1D100<=75) > 28 > 成功
森谷友己(もりや ともき) :
CCB<=15*5 DEX×5 (1D100<=75) > 48 > 成功
森谷友己(もりや ともき) :
CCB<=15*5 DEX×5 (1D100<=75) > 61 > 成功
飛びかかってきた鬼女の攻撃をかわし坂の上へ逃れることができる。
「は……っ……、あ、あっぶ、な……!」
極限まで集中していた所為か、反射で体が動いたが、最後のはかなり危険だった。当たっていたらどうなっていたか。
恐怖か、昂りか。
手が、指先に震えが来ている。
こぶしを強く握りしめて理由の判然としない震えを押しとどめる。
まだ。
まだだ。
◆第3ラウンド
ほの明るい方へ走る。上り坂はどんどん傾斜を増し、まるで天上へ突き抜けるかのようだ。
坂を登りきった先、空間に裂け目があり眩しい陽光が差し込んでいるのが見える。だがその光が徐々に細くなっていることに気づくだろう。ゴゴ…と重い音と振動が伝わる。大きな岩が引きずられているようだ。
…裂け目が閉じ始めている!
CCB<=15*5 DEX×5 (1D100<=75) > 99 > 致命的失敗
HP : 12 → 11
ああ。これはもう。
躓いたのだろうか。それとも何かに引っ掛けられたのだろうか。体が動かない。気力で何とかなる範囲を明らかに超えてしまっている。
あちこちが痛い。
何が良くないのかも分からない。体がバラバラになりそうだ。本当にそうなるのも遠くないかもしれない。
光は目に見えて細くなる。走り続けた足が重い。あと少し、あと一歩なのに。光に手を伸ばす。
「けど……ここで、死にたくない……!」
どうか、届いてくれ。
あと少し、動いてくれ。
あなたが伸ばした手を、誰かが取った。
「こっちだよ」
それは洞窟で聞いたあの声だ。相変わらず平坦な声は、しかし今度はただ手を取るのではなく、ぐいと強くあなたの手を引いた。
光の中へと引き込まれる。突き刺すような強い光と太陽からの熱を感じる。すんでのところで闇の空間から抜け出すことができたようだ。
つんのめるように地面へ手をつく。視界いっぱいに広がるのはジメジメした真っ黒な土ではなく、乾いたアスファルトと歩道と車道を隔てる白線だった。
あなたは元の帰り道へと戻ってきた。服装も持ち物もいつもどおりに戻っている。ただし振り返ったそこに鳥居は無くただ草の茂った真四角の空き地が広がるばかりだ。
「いっ……た……」
硬い、アスファルトの上に這いつくばっている。
立てるだろうか。
みっともない、と思う余裕すらなかった。
体内の血液が勢いよく駆け巡って臓器を押し上げ、急激に吐き気を催してきた。
血液が薄い皮膚を突き破ってしまいそうなくらいに心臓が跳ねまわっている。
命の危険があったのは初めてではない。それもどうかと思うが……ただ、今回の件については時間的な体感としては相当あったし体力を使ったのもある。
「……早く離れよう」
大きく息を吸って、吐いて。
大丈夫、動ける。
そう言い聞かせて立ち上がる。
2歩ほどたたらを踏んだ気がするが、それくらいは見逃してほしい。
時刻を見ればまもなく0時を回ろうかというところだった。
あなたはいつも通りのその道を歩いていく。
またどこかで、見慣れた景色の中に違和感を覚えることがあるかもしれない。
「帰って……もう寝よう。あともう少し警戒心を身につけようかな……死ぬかもしれない思いは、さすがに控えたい。」
【シナリオ終了】
三媛(サンエン) 探索者生還
森谷友己(もりや ともき) : 1d10 (1D10) > 3
SAN : 66 → 69
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