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旧校舎の事実
悠人たちと別れ、響は千影と一緒に帰ることになった。
今日は響の家には誰もいないので、千影の家にお泊りだ。夜道を2人並んで歩く。
「ちーちゃん、ちーちゃん。旧校舎の噂って知ってる?」
響が意気揚々と千影に話しかける。
彩世が悠人を憎からず思っていることを、響は知っていた。響は女子生徒の恋バナによく巻き込まれるのだ。そして悠人は彼女が欲しいと言っていた。その2つの情報から響が導き出したのは、悠人と彩世が恋人同士になればハッピーエンドになるという単純すぎる解釈だ。
だから旧校舎で2人きりにするために響は1人旧校舎を離れた。悠人が鏡を覗く際、自分がいたら邪魔だと考えたのだ。2人きりにしておけば、鏡を2人で覗くかもしれない。そうして2人の距離が近づいて、恋人同士になれば。響は恋のキューピッド役をこなしたことになる。響は、とても良いことをしたと千影に報告したかったのだ。
そんな響の思惑とは裏腹に、千影の反応は冷めたものだった。
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