旧校舎の事実

2/2
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「ああ、旧校舎の鏡の話か。あれは嘘だよ。良くないものがいるのは本当だけど。ウサギさん持ってて良かったね」 「ええ!? 恋人同士になった人もいるって聞いたのに!!」  旧校舎の噂が嘘だったなんて。響はショックを受けた。悠人と彩世のために頑張ったことを、褒めてもらおうと思ったのに。  幽霊に関しては何となく存在を感じていたので、そこは気にならなかった。 「もし、恋愛成就的な効果があるとしたら、おそらく吊り橋効果だろう。旧校舎は不気味だからね。恐怖や不安で心拍数が上がっているのを、恋愛のときめきと勘違いしてしまうんだよ」 「じゃあ、2人で旧校舎に行くと、吊り橋効果で仲良くなるってこと?」 「そういうこと。全ての人に当てはまるものではないけどね。生理的に無理な人間と一緒にいたって、嫌悪感しか残らないだろう?」 「ふぅん……」  吊り橋効果。  響は、心の中で呟いた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!