ラッキーな５０％

　俺は今、とんでもない提案を受けている。

　目の前に置かれた二つの薬のうち、当たりを飲めば寿命が延びる上に大金持ちの人生が待っており、ハズレを飲めば即座に死んでしまうというのだ。

　提案してきたのは、「天使」と名乗る謎の生き物。

　もちろん最初は疑った。何が天使だ、ふざけるな、と。

　だが、いきなり目の前に現れたし、ベタに背中から羽が生えているし、常に宙をフワフワ浮いているし、何より素っ裸なのに乳首も性器もないツルンとした体つきをしていることから、信じざるを得なかった。

　なお、体格は小柄で、髪は茶色くモジャモジャっとしている。
　まさに「キューピッド」のイメージと酷似……いや、同じと言っても問題ない。

「聞きたいことが山ほどあるんだけども、いいかな？」

　ヘラヘラしながらフワフワしてる天使に問いかける。

　すると天使は、親指を立てながら、やけに甲高い声で「もちろん！」と返答してきた。サムズアップというやつだろう。最近覚えた。

　それにしても、妙にノリが軽い。
　天使というのはこういうタイプの種族だったのか。