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「なぁ天使さん。次の質問、いいか?」
「もちろん!」
やはり繰り出すサムズアップ。
この天使は、「もちろん」と「サムズアップ」がセットになっているらしい。なんともバカっぽい。
「じゃあ質問するぞ。――友人の死神、とやらに寿命をプレゼントしたいだけなら、問答無用で俺の寿命を奪えばいいだろ? なんで、わざわざチャンスまでくれるんだ? 当たりの薬を引いたら、逆に俺の寿命は延びるんだろ?」
「そこなんだよねぇ」
天使が腕組みしながら首を横に振る。
なんだかイラっとくる仕草だ。無能なくせに。
天使が言葉を続ける。
「僕たち天使は、神様と人類との間を取り持つ存在なんだよ。人間に対して一方的に不利な提案や行動を取ることができないんだ。でも、フェアな行動ならアリ。だから、君にとってメリットとデメリットのある二つの薬を用意したんだ。これならフェアだよね?」
「まあ、な。だから、『死神が寿命を奪ってもいい条件』に合致した俺のところに来た、ってわけだ」
「そう! 条件を満たしてるのに、まだ他の死神たちが気付いていなくて手つかずだったから、僕が見つけて、こうやって訪れているってわけ」
「へぇ。何か理由があって、俺を狙い打ちしたわけじゃないのか」
「ううん、全然違うよ。さっきも言ったけど、天使はね、神様と人類との間を取り持つ存在であって、人間単体のことはあんまりわからないんだよね。種族として違うわけだし。だから、こうして対面してても、君の性別も年齢もわからないし、男なのか女なのかもわからない。君だって、魚や昆虫を見て、性別とか年齢なんてわからないでしょ?」
「確かに……。つまり、俺の家に来たのはまったくの偶然ってことか?」
「そういうこと! 君は、ただ単にランダムで選ばれただけなんだよ。千載一遇のチャンスを得られて、ラッキーだね! 50%の確率で幸せな人生が待ってるよ!」
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