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やはりサムズアップを繰り出しながら、胸を張る天使。
すべてに合点がいった。この天使が間抜けだったおかげで、俺はこのような僥倖にありつけたのだ、と。
人間単体のことはよく知らず、性別も年齢もわからないから、現在82歳、末期がんで余命3ヶ月と宣告され、最後くらいは自宅で過ごそうと思っている俺のところに来てしまったのだろう。
他の死神たちは、俺を見つけられなかったんじゃない。
俺の寿命を奪いに来たところで3ヶ月。労力に見合わないから誰も来なかっただけだろう。
「わかった。じゃあ、どちらかの薬を飲もうじゃないか」
こうなったら、不意に訪れたラッキーな50%に乗っかろう。
後は野となれ山となれ。
【了】
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