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BAD or HAPPY END...?
悪役令嬢は学園の卒業パーティーで断罪される展開がお決まりだ。
「何、ですって……?」
突然、自分の頭に浮かんだことに思わずこぼれた言葉。目の前にいるクロード殿下がわずかに眉をひそめた。
そこから、次々浮かび上がって来た記憶は間違いなくこの世界でこれまで歩んできた人生のものではなかった。
今のわたくしのものではない人生の記憶──前の人生の自分であるとすぐにわかった。家族もいて友達も彼氏もいて、幸せな高校生活を送っていたが闘病の末に亡くなった。彼氏と結婚することはできず、冗談交じりに来世ではなんて約束をした。
正に今がその来世になるわけで。来世があるとも、まさかこんなにファンタジーな世界に生まれ変わるとも思っていなかった。
この記憶が自分のものだとわかったのか、自分でも表現し難い。頭に浮かんだこれはわたくしの記憶だ、と空いていたパズルがそこにはまったという感覚だ。
目の前で起きている現実に意識を戻すと、きらびやかで眩しい空間に頭がくらくらした。
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