性癖を拗らせた原因の〇〇〇〇に再会したのでヤらない理由がない

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  「博士の紹介かぁ。そうねぇ。もう獣人はこりごりなんだけど、どうしてもって言うなら……」  口ではそんなことを言ったが、期待に胸を膨らませている。  博士の絡むところに獣人アリだ。 「あ、っそう。あんた本当に獣人にモテなさそうだし、それなら、安心して推薦できるわ。じゃぁ、決まりね。父さんに連絡しておくから、変な色気を出さないで真面目に勤めなさいよ」  ミーナは新たな獣人との出会いを期待して、診療所から去って行った。 *  ミーナの次の職場は、獣人とヒトとのトラブルを解決するために設けられた警察のとある部署だった。  警察とは関係のない、やたら豪華なビルの一室が職場だ。 【獣人対策室】と小さく掲げられた部屋には、広い机が二つだけぽつんと置いてある。ミーナはそこで受付業務を行う。  近年、街にやってくる獣人の数は増えていて、中にはヒトとトラブルを起こす者もいる。獣人のトラブルはいつも恋愛が絡んでいる。  獣人の暴走は男性の方が圧倒的に多く、相手のヒト女性からの被害の訴えをきくのに女性の職員が必要だったのだそうだ。  魔術式の通信機越しに、獣人に求められすぎてつらいとか、獣人に求愛されているがどうしたらいいのかわからないとか、ミーナが求めても叶えられないことに困る女性たちから相談を受ける。  ミーナは、相談にのったり、具体的な被害を書き留めたりする業務をまかされた。  事件性があれば武力をもって解決しなければならない事案もあるので、そのときはまた別の部署に引き継ぐ。    もちろん、ヒト男性から女性の獣人の被害の訴えをきく職員もいる。それがもう一つの机の主だ。  もっとも、そちらの職員は、相談にとどまらず、ありとあらゆる事務仕事を任されているようで、机の周りにはいくつも棚が設えてあって、どの棚にもぎゅうぎゅうに紙束が詰まっている。  顔合わせで、二人は互いに顔を見合わせてちぐはぐなため息をついた。 (兎の獣人だわぁぁ!)  ミーナはため息で劣情を吐き出したが、同僚の獣人は少し耳を伏せて鼻だけでため息をついた。  同じ職場のミーナの同僚、コニーは兎の獣人だ。  いつもミーナが来る前には出勤していて、ミーナよりも後に帰る。  特に意地悪でも親切でもない。
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