34人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
ミーナの家に転がり込んだ獅子獣人リオは、ミーナに大金を使わせて、挙句フリダの妹の家に尻尾を上げ上げ転がり込んだ。
ミーナはリオに利用された。
すべては、フリダの妹を陥れる為の布石だったのだ。
数週間前の悲劇を思い出して、思わず顔が引きつる。
ミーナがいると気がついているはずなのに、気にも留めずにコニーの机に向かう。
腹が立つことに、ミーナに貢がせた高いスーツを着ているではないか。
小麦色から黒にグラデーションのかかる鬣はつやつやと光り、極めて調子が良さそうだ。
ミーナはその派手な筋肉の盛り上がりも、目鼻立ちのくっきりした美しい顔立ちも好きだった。
パンと張ったしなやかな尻尾も、思ったよりも肉厚な耳も、ただの一撫でもさせてもらえなかったが。
(駄目だ。見た目に騙されても、獅子獣人は駄目なんだ……)
ヒューイ隊長の恐ろしさを知った今は、獅子獣人は身近で生活したい相手ではなくなっていた。
「リオか。除隊したんじゃないのか? 今度は何だ? 街へ出た自慢か? お前みたいな暴力性の高いヤンデレ変態は、すぐに里に逆戻りだろうがな」
「いえいえ、先輩くらいのロリコン犯罪者には敵いません。――実は、僕にもついに番が出来ましてね」
「へぇ。脳内の妄想番は卒業できたのか?」
コニーはリオと話している間、一度も顔を上げない。ひたすらに書類を書き進めている。
「コニー先輩のおかげかなと思いまして。挨拶に来たわけです」
気安いが、仲がいいとは言えない雰囲気だ。
「あの……リオさん、こんにちは! あの後、ダリアちゃんとうまくいったんだってね!」
ミーナは、徹底的に無視されたことに腹を立てて、厭味ったらしくリオに声をかけた。
「――ダリアだと?」
すると、コニーが顔色を変える。
「おっと、気安く呼んでいただいては困ります。世間が許しても、僕だけは一生ぐちぐちと言うって決めたじゃないですか。あなたがダリアを誘拐しようとしたことも、僕を殺そうとしたことも、無くなったりしない罪です。小さいウサギを殺したこともね!」
「いい加減しつこいんだよ。まだ足りないのなら、そんな回りくどいことをしないで、命をやるから持っていけ」
最初のコメントを投稿しよう!