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「僕がコニー先輩を詰るのはいいんですよ。でも世間がコニー先輩を許さないのとは違うでしょ。これは僕だけが根深く覚えていればいいことで、博士たちもコニー先輩の贖罪にはもう既に納得してます。その証拠に、もうコニー先輩が街に出る許可は出てるじゃないですか?」
コニーは机の下でタンタンと足を鳴らした。
「でも、一つ残っている問題があって。それをね、清算しにいきませんか?」
「なんのつもりだ」
「あんなことがあったけど、僕とコニー先輩は札付きで里から出れない仲間だったじゃないですか。何の因果か、僕はあなたをずっと見張らされていてたし。先輩はもう、あの時のあなたではないでしょ? 多分、僕が一番それを知っている。だからね、僕以外にはあれはもう、時効じゃないかなと思うんです。まぁ、僕はそう思うってだけですけど」
「番ができて浮かれているんだろ。いまさら、そんなのなんの意味もねぇよ」
リオはついでのついでとばかりにミーナの方を向く。
「ええと、黒髪のおねぇさん、よかったら今度ダリアの働いているカフェでご飯でも食べませんか? それとも、お酒があった方がいいですかね? コニー先輩も連れてきてください。お嬢さんには世話になりましたし、僕がおごりますから。それでね、ダリアのオネエサンも来ますから、救急セットくらいは持ってきた方がいいかなぁ」
それを聞いてコニーは身を硬くする。目など見開きすぎて飛び出しそうだ。
「あ、そうか……」
ミーナはそれまでの色々な事柄が、一本の線で結ばれたのを感じた。
*
「なるほどね。話は分かったわ」
夕方の酒場で、フリダはいつもよりずっときつい目をして腕を組んでいる。ああいう顔をしている時はだいたい誰か怪我人が出るのだ。
案の定、フリダがトラウマだと言っていたウサギを殺した犯人はコニーだった。ついでに、フリダの妹の誘拐未遂と、リオの殺人未遂もコニーの仕業だった。
ミーナは自分がとんだ凶悪犯と一緒に密室で仕事をしていたことを知って微妙な気持ちになった。
「ダリア、みてごらん、これが僕があの日ボコボコにした兎だよ」
リオは、べたべたに甘い声でフリダの妹に話しかける。
「……え、ええと、でも、私あまり覚えてないから、こういうの別に必要ないんだけど。だいたい、私、どんな気持ちで会えばいいの?」
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