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「ダリアは会わなくていいんだよ。僕たちの報復はもう終わってるし。ダリアは思い出す必要もない。今日はオネエサンのために連れてきただけだから。僕らはマスターの美味しいご飯を食べるとしよう」
皆の時間が合うように調節したら、結局夕方になった。
蚊帳の外のミーナは、端っこで皆から少し離れておとなしく酒を飲んでいる。
「色々あったけどさ、コニー先輩は里に帰ってからヒューイにこき使われ続けた仲間でもあるから。僕はコニー先輩のこと、可哀想だなとしか思ってないんだけどね。でも、オネエサンはそうでもないみたいだし」
何の配慮か、酒場は貸切ってあって他の客はいない。
客は少ないが、リオやコニーがかさばるので店内は広くは感じなかった。
「リオ、お前の番をこっちにつれてくるなよ」
コニーはそういってタンタンと不機嫌そうに足を踏みならす。
「はいはい、大丈夫。念入りにマーキングしてあるから兎の獣人が近くに来たところで恐怖で縮むよ。僕たちはこっちで美味しくご飯を食べているから。では、ごきげんよう」
「いまいましい……」
顔を青くしているコニーを、フリダの妹が心配そうに振り返る。
「あんな人だった?」
「ヒューイにこき使われて、すっかりスレてしまってね。まぁ、僕も同じか」
その雰囲気を壊すように、どすどすとフリダがやってくる。
「それで、私はコレをどうすればいいわけ?」
「どうとでも。オネエサンのウサギは命を取られたわけだし。コニー先輩は、家族からも縁を切られている。どうしようとオネエサンの自由自在です!」
リオは晴れ晴れとした笑顔で言った。
「生かすも殺すも私次第ってことね」
フリダはバキバキと指を鳴らしている。
鳴らしているのは手だが、フリダは足が出るタイプだ。
「別に本当に俺を殺してもいい。どっちみち俺に未来なんてない。死体は隊で処分してくれる」
コニーは全てを受け入れたような感情の無い目で立っている。
「殊勝な事ね。それじゃ、遠慮なく」
フリダは手を振りかぶりはしたが、結局コニーを蹴りつけた。
「このくそ兎!! 死ねっ!」
ゴンと音がして、派手にコニーの長身がひっくり返る。
フリダは倒れたコニーをしつこく蹴りまくる。
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