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「精神的にもバキバキに折られて、すっかり性欲もなくなって、枯れたんですかねぇ。誓って言いますが、再犯はまずありません。割と小動物や子どもにも好かれますよ」
フリダは忌々しそうに溜息をつく。
「なら、もう、好きにしたら。ミーナ、あんたが持って帰ればいいわ。切り刻んで肉屋にでも売ったら?」
「つまり、コニーさんは私のものってこと? 誰も所有権を主張しないってことでいいの?」
コニーが自分の所有権を主張するんじゃないだろうか、とダリアだけが思っていたが、ミーナに分かるはずがなかった。
「それじゃ、フリダ、コニーの主として命じるわ! とりあえずコニーを治療してちょうだい。私が治療費払うんだから、なにも文句はないでしょ?」
「あんた何様よ! 治療もなにもただの打撲よ。湿布でも貼っときゃ治るわ」
「ふーん、そうなの?」
ミーナは手慣れた様子で湿布を取り出し、コニーに貼っていく。フリダはいつも蹴るところが決まっているから、傷を探しやすい。
「えへへ……もらっちゃった」
ミーナは笑いを噛み殺さずにはいられず、にまにまと口元をゆるませた。
「はぁ? あんた正気? 誘拐未遂、殺人未遂、ロリコン、動物虐待よ! あんた獣人なら本当になんでもいいの?」
「いいの、いいの。だってフリダは要らないんでしょ? まだ土下座させ足りないとか、羞恥プレイをしたいとか、針の山を歩かせたいとか、まだ用があるなら身を引くけど?」
「そんなクソ野郎に、もう用なんか無いわ」
*
リオに軽々と担がれたコニーに付き添ってきたら、通い慣れてきた職場の建物に着いた。
いつどこに帰っていくのか疑問だったが、コニーが職場の上の階に住んでいたと知り、ミーナは驚いた。
ドアを開ければ、無機質な、がらんとした部屋だ。
生活感もなければ、娯楽になるようなものも何もない。
本当にこの部屋と、仕事場くらいしか往復していないのだろう。
「じゃぁ、コニー先輩をお願いします」
そう言ってリオはコニーをベッドに投げ出すと、すぐに出て行った。
しばらくしてコニーが目を覚ましたので、ことのあらましをちょっとした虚偽も交えて説明する。
「――そういうわけでね、コニーさんをもらっちゃったの」
「……なるほどな」
所々内出血はしているが、フリダが言った通り、ひどい怪我はなさそうだ。
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