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 ミニブタは体が小さくて、のんびりした性格の者が多いせいか、どうしても甘くみられてしまう。  しかし、薬屋の店主は強気なようだ。 「ぼくの薬は世界一さ」 「そこまで言うなら買ってやる。その代わりまけてくれ」 「それはできない」 「なんでだよ」 「この薬はきちんと作られた薬で、この値段は正当なものだ。理由もなく安くすることはできない」  しかし、客はその後も要求を曲げず、ついにミニブタの店主は、怒り狂ってキイキイ声をあげた。 「絶対にまけられないっ!ちゃんと説明したのに何で分かんないの?!」 「ふん。ならもういいよ」 「他の薬屋を探そうぜ」  客達は店主の機嫌を損ねたことを謝りもせずに、ぶつぶつと文句を言いながら店を出て行った。 「きいい~っ。なんて奴らだ!」  腕を振り回して悶絶した後、ミニブタはカウンターにがっくりと突っ伏した。しつこい客の値引き交渉に、すっかり疲れてしまったのだ。
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