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不安そうな顔のミニブタに、ウサギは穏やかではあるが、固い口調で説明した。
「メイゴート村で非常にたちの悪い伝染病が発生しました。村までお連れするゆえ、往診をお願したいのですが」
「メイゴート村?あそこにはライルさんがいるはずじゃ…」
ライルとは、ミニブタの先輩の薬師だ。ちなみに、アヒルである。
ウサギの騎士が淡々と答える。
「患者を隔離するために森の中に建てた治療小屋に、十二人の患者と一緒に入ったきり、戻ってこないらしく…」
「えっ。そんなにひどい状況なの?!」
「一時はそのような治療小屋が、十以上も作られるほどだったとか」
他の村からも薬師が呼ばれ、村全体で懸命の治療を施して三か月。伝染病自体は収束に向かいつつあるそうなのだが…。
二週間前のことだ。ライルがいる治療小屋と、連絡が取れなくなった。
「様子を見にいった薬師が、これまでに二人いるそうなのだが、その二人も戻ってこないと…」
「な、何なのそれ…。怖いんですけど…」
ミニブタは青ざめた。
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