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 夜も九時を過ぎた頃。祖父母に合わせて僕も床に就く。むかし母が使っていたという部屋は今は物置スペースとなっていた。そこに急造で寝床が作られていて、僕はそこに布団を敷いて眠ることになる。  すこし埃っぽい部屋の中には窓がひとつだけあり、ちょうど月明かりが真っ直ぐに入り込んでいた。光の筋の中に埃がふわふわと浮いていて、それをぼーと眺めながていると段々と眠りに落ちていく。  そんな状態で思い出すのは、陽菜のことだった。時折見せる陰のある表情。そして腕の痣。あの光景がくっきりと僕の頭に焼き付いていた。  明日も陽菜に会えるのだろうか。ともすれば夏祭りの会場で会えるかもしれない。そんな期待感が胸にあった。  もっと陽菜と話がしたい。そんなことを考えていると、ふっと僕の意識は暗闇に吸い込まれていった。
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