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さすがの彩佳も、ネズミと枕をともにすることには大いに抵抗を感じ、結局、駅に降り立った時から気になっていた、近くに見えるネオンサインが眩しいラブホテルに“ひとり”で宿泊した。男性との交際経験の無い彼女にとって、ラブホテルは無縁のエリアと思いきや、こういった形で利用すること、実に5回目である。
とはいえ、一般のホテルと比べると明らかに異次元の空間であり、ここをひとりで利用することへの若干の違和感は拭えなかった。
彩佳はそのたびに、
「やっぱり、きちんと計画を立てて行かないと、何かと大変だなあ。」
と反省するのだが、それから僅か5日、次の週末を迎えるころになると、そんなことは一切忘れている。そして、また、いつものように、
「そうだ、旅行へでも行こうか!」
と言いながら、行き当たりばったりの旅行に出掛けていくのである。なかなか懲りない。
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