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(もしかして秀司さん、こういうご飯がドンッとあるお弁当の方が好きなのかな)
「どうしたの、さっちゃん」
「あ……いえ」
「あっ、もしかして嫌だった? 真っ黒過ぎて」
「違います。あの……私が作るお弁当と違い過ぎていて、もしかして秀司さんはこういう感じのガッツリ系のお弁当の方がいいのかなって」
「あぁ、そんなことないよ。単に面倒臭がりなだけだよ」
「?」
「自分で作る時は適当っていうか、とりあえず米が食べられればいいって感じだから一面にご飯を敷き詰めて海苔とか鰹節とか乗っけるだけで充分だと思っちゃうんだ」
「……」
「だけど本当はさっちゃんが作ってくれるような可愛い感じの弁当が好きなんだよね」
「……」
「おにぎりにするのって手間がかかるし何種類もおかずがあるのって大変だろうなっていつも思いながら、でも美味しいし嬉しいから昼休みが楽しみなんだ」
「そう……ですか」
「うん」
いつもお弁当を受け取る時、秀司さんは『ありがとう』と言ってくれて、そして帰宅して空になったお弁当箱を差し出す時は『美味しかったよ』と言ってくれていた。
『ありがとう』と『美味しかったよ』以外の言葉。秀司さんが思っていたことをちゃんとした言葉で伝えてくれたことが嬉しく思った。
「さて、僕は軽く朝食を摂るけどさっちゃんはどうする? まだ時間的には早いけど」
「私も一緒にいただきます」
「そっか。じゃあ一緒に食べようか」
「はい」
もっと もっと
秀司さんともっと話しがしたいと思った出来事だった。
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