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とある日、起きた時から少し咳込むようになった。
(やだな、季節の変わり目だからかな)
春から初夏になるというこの時期、毎年のように体調を崩すことがあった。元々気管支が強くなかったので体の不調はいつも咳が出ることから始まる。
(薬、もらってこなくっちゃ)
慣れたものでこんな症状が出たらすぐに治療しなくてはと思う。
咳込む症状が出るといつも飲む薬があった。その薬は叔母が勤める病院でもらっていたので時間のあった今日行ってもらって来ることにした。
叔母と住んでいた時は行くのに割と時間がかかった病院も秀司さんと結婚して引っ越してからは今までの半分ほどの時間で行けるようになった。
その病院には秀司さんも勤めていて、いつでも病院に駆けつけることが出来るようにと病院からそう遠くない場所に居を構えていたからだ。
【132番の方、3番診察室へどうぞ】
大きな総合病院では患者名ではなく来院した時に専用の機械から引き抜いた番号札の番号で案内される。
電光掲示板に表示された案内と持っていた番号札の番号を照合して診察室へと入って行った。
「では、いつものお薬出しておきますね。それでしばらく様子をみてください」
「はい、ありがとうございました」
いつもの病状だったので待ち時間よりも短い時間で診察は終わった。
診察室から会計場所に移動する時、中庭を覗ける大きな窓の向こう側に見慣れた人がいたのを見つけた。
(あ……秀司さんだ)
中庭の芝生に白衣姿の秀司さんが数人の子どもたちと何かしていた。
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