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キッチンで料理を作っている秀司さんをこっそりと見る。腕まくりしたその腕は程よく筋肉が付いていてとても綺麗だった。
普段キッチリと襟首までボタンを留めている秀司さんのお風呂上がりに見せる露出の多い部屋着姿を見た時、剥き出しになった腕や脚、そして鎖骨などに何ともいえないときめきを感じてしまうこと。
秀司さんの知らなかった面をひとつまたひとつと見つける度に私はおかしくなって行く。
この気持ちに名前を付けるとしたらそれはやっぱり──……
「さっちゃん、ただいま」
「おかえりなさい」
連休明け、いつもより早い時間に帰って来た秀司さんを笑顔で出迎える。
「あれ? さっちゃん、どこか具合が悪い?」
「え」
秀司さんはまじまじと私の顔を見つめた。
「なんだか顔色がよくないよ」
「あ……大丈夫です。ちょっと寝つきが悪い日があって……」
「眠れていないの?」
「……」
秀司さんと結婚してから一か月ちょっと。
秀司さんに対して特別な気持ちが芽生えつつあった私は眠れない日々を過ごすことが多くなっていた。
この結婚生活にはなんの不満もなく、それどころか幸せな毎日を送らせてもらっている。
秀司さんは本当に優しくて医師として忙しい日々を送る中でも私に対しての扱いは結婚当初から変わることなく続いていた。
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