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「無理って……無理って何が……」
それは昨日の私の行動に対しての言葉なのだろうか。
「無理なんて……私っ」
またボロボロと涙が溢れて来る。精一杯頑張ってみた行動がこんな事態を招いてしまった。
「こんなことになるなら言わなければよかった…!」
メモをギュッと胸に抱いて泣いた。色んなところから溢れて来る秀司さんの優しさが今の私にはとても辛かった。
──結局私は結婚には向いていなかったのだ
結婚はゴールではないという言葉を誰かが結婚式のスピーチで言っていたのをぼんやりと思い出した。
(本当に……そうだな)
好条件だと割り切って結婚した。だけど今になってそれはそうじゃなかったのだと知った。相手が秀司さんだったから……他の誰でもない、秀司さんだったから私は結婚したのだ。
条件がよかったからなんて所詮結婚するための建前だった。
その時は分からなかった。だって今まで恋なんてしたことがなかったのだから。
そしてやっと気が付いた。私はもうとっくに秀司さんに恋をしていたのだと。
(最初から間違っていたんだ)
気持ちを確かめ合わないまま結婚した結果がこれなのだと思ったらどうしても泣けてしまうのだった。
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