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「わたしにとって寺岡くんは男としての魅力は皆無なんだけどさ、きっと幸穂には色んな意味でいい影響を与えてくれると思ったんだ」
「……」
「わたしがそう感じたから──だから幸穂に寺岡くんを紹介した」
「……叔母さんの気持ちはよく分かったけれど……でも秀司さんは?」
「え?」
「叔母さんを好きだった秀司さんは叔母さんの姪だって理由だけで私と結婚したってことでしょう?」
「……」
「じゃなきゃこんななんの取り柄もない私なんかと結婚するなんてこと」
秀司さんが素敵な人だと知れば知るほどに自分の不甲斐なさに腹が立ち恥ずかしくなる。
叔母みたいに才色兼備じゃない私がどうして秀司さんと結婚出来たのか──それは全て私の延長線上に叔母がいるからなんじゃないかという考えに囚われてしまっている。
「寺岡くん、本気だよ」
「!」
静かに発せられた叔母の言葉にドキッとした。
「最初こそ15も歳下の幸穂に戸惑って結婚に対しても積極的じゃなかったけれど、幸穂と接すれば接するだけ気持ちが傾いて行ったって」
「……」
「わたしの姪とか高校生とか、そういうの全部とっぱらって幸穂という女の子のことが愛おしくて堪らない、自分の手で幸せにしたいといって寺岡くん、わたしに土下座して頼んだんだよ」
「何を」
「幸穂をお嫁さんにくださいって」
「っ!」
(秀司さんが?! 土下座って)
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