Episode.5

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Episode.5

『そうよ。だからさ余計に寺岡くんにあげたいんだよね、この子』 あの日訊いた彼女の言葉から僕の新たな恋が動き出した──。 大学時代に知り合い交流して来た下平先輩のことをいつの間にか好きになっていた。 サバサバしている性格。誰にも好かれる気風の良さと器量よし。惹かれるなという方が無理だった。 彼女が大学を卒業する時に思い切って告白した。だけど結果は──…… 気持ちを受け入れてもらえなかったのは残念だったが、その断りの理由で言われた言葉に対して納得が行かなかった。 早死に家系だから恋愛を諦めていた──そんな理由で告白をなかったことにして欲しくなかった。好きか嫌いか、ただそれだけのことだったのに。
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