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そうしてあっという間にやって来たお見合い当日。
顔合わせ会場に現れた男性は背が高くて眼鏡をかけたスマートな男性だった。でも私を見るなり真っ赤になって同席していた叔母にいきなり詰め寄った。
「ど、どういうことですか、下平さん!」
「どういうことも何も寺岡くん、嫁さん欲しいって言っていたじゃない。だから紹介してあげているんじゃない」
「だからって……あの、どう見てもものすごく若い娘さんじゃ……」
「若いわよ。だって18歳だもん」
「?! じゅ、じゅじゅじゅ、18?!」
「なーに驚いているのよ。寺岡くん好きでしょう? 若い子。だってロリコ──」
「ち、違います! 違います違います! 僕は決してそんな犯罪者みたいな趣向では」
「はいはい、分った分った」
「~~~絶対分っていないでしょう」
「それよりもこの子は器量よしで働き者! わたしの折り紙付きよ。なんてったってわたしの姪っ子だからね」
「え、下平さんの?!」
「そうよ。だからさ余計に寺岡くんにあげたいんだよね、この子」
「……」
「──というわけでこれで溜まっていた諸々のツケ、帳消しにして? いいよね 」
「はぁ? いいよね、じゃないですよ! ──まさかそんなことのために姪御さんを」
「なんでー。win-winな条件でしょう? わたしも寺岡くんも幸せになれる。勿論幸穂だって」
「間違っています! 下平さんは絶対に間違っています!!」
目の前で繰り広げられているふたりのやりとりをジッと見ていた私。
散々盛り上がっていたふたりの会話から何となく何故この男性の元に嫁がされることになるのかが分ったような気がした。
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