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深く愛された私は微睡む中、温かな感触に包まれていることに気が付き目を覚ました。
「……」
その温もりの正体は秀司さんだった。あどけない顔で眠っている秀司さんの寝顔。それは初めて目にした無防備な夫の姿だった。
(ふふっ……秀司さん、可愛い)
うんと歳上の男の人なのに寝顔は幼くまるで少年のようだった。
昨夜の激しい行為のまま全裸で抱き合っている私たち。素肌の熱をそのままダイレクトに感じ少し熱いくらいだった。
(シャワー、浴びてこようかな)
秀司さんを起こさないように少しずつ体をずらしながらベッドから出ようとした。
「──どこに行くの」
「!」
いきなり腰をガシッと掴まれ驚いた。
「トイレ?」
「あ……ごめんなさい、起こしてしまいました?」
「ううん……少し前から目、覚めていた」
「え」
「さっちゃんが僕の顔を見て笑っていたの、知っている」
「~~~」
(は、恥ずかしい!)
あれを見られていたのかと思うとカァと顔が熱くなった。
「それで? どこに行くの」
「あの……シャワーでも浴びてこようかなって」
「シャワー……」
秀司さんは小さく呟くと隙間が空いていた私の体をグッと傍に抱き寄せた。
「秀司さん?」
「後で一緒にお風呂に入ろう」
「え、後で?」
「うん」
「今じゃないんですか?」
「今は──こういうことするから」
私の上に跨った秀司さんは私の首筋に唇を寄せた。
「あ」
「さっちゃん、抱かせて?」
「えっ、だって朝──」
「朝だから何?」
「秀司さん、お仕事が」
「今日は休みなんだ」
「……」
「だからね、一日中さっちゃんと一緒にいられる」
「……秀司、さん」
「ねぇ、今までお預け喰らっていた分これからはたっぷりさっちゃんを堪能させて?」
「~~~」
秀司さんの熱っぽい視線に鎮まっていた私のいやらしい部分が目を覚ましてしまった。
愛する人に求められればどうしたってそれに応えたくて、結局その日の大半はベッドで過ごすことになったのだった。
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