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──秀司さんと本当の意味で夫婦となってから半年
「あははっ、なによぅ、ヤることヤッてんじゃない~」
「お、叔母さん!」
その日、私と秀司さんは叔母の家に来ていた。それはとあることを報告するためで──
「で? 予定日はいつなの」
「あ……えっと……来年の7月上旬だって」
「へぇ夏生まれか、いいねぇ」
そう、私は秀司さんとの子を妊娠した。
私の気持ちを秀司さんに伝えたあの日から時間があれば秀司さんは私を求め、愛した。
秀司さんの濃くて深い愛を受ける度に幸せを感じ、いつの間にか世を儚んでいた気持ちはどこかに行ってしまっていた。
(ふふっ、嬉しいなぁ)
溢れる愛おしさからまだ何の変化もないお腹を擦ってしまう。
「よかったね、幸穂、寺岡くん」
「叔母さん……」
「あ、ありがとうございます」
叔母からの祝福の言葉を受けて私も秀司さんも言葉に詰まってしまう。
(叔母さん──)
だけど私が色んなことに対して幸せだと感じる度にどうしても叔母のことを考えてしまう。
それは秀司さんも同じで、ふたりでいるとつい叔母のことが話題に上ることが多かった。
出来れば叔母も幸せになって欲しい。勿論幸せの形は人其々で違うものだけれど。
(叔母さんにも愛のある人生を送ってもらいたい)
そう思ってしまって仕方がなかった。
「あぁ、そうだ。わたしもふたりに報告!」
「え?」
「なんですか」
「あのね、わたしこの度婚活を始めました!」
「「………えっ!」」
叔母の突然の報告に私と秀司さんは揃って驚きの声を上げた。
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