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(家族が沢山いる人の元に嫁いでしまった)
そうはいっても勿論大家族とは別居で一緒に住むことはなかったけれど、今まで全く縁のなかった人たちと義理とはいえ家族の一員になったことに少しだけ戸惑いを覚えたのだった。
「えっと……何、かな」
「私、なんて呼んだらいいですか?」
「え、何を」
「寺岡さんのことを何と呼べばいいですか? 『ご主人様』ですか?」
「! ご、ごごごご、ご主人様?!」
「違いますか? じゃあ『あなた』『ダーリン』『旦那様』……」
「ちょ、ちょっと待って! ストップストップ!」
「……」
「はぁぁ、心臓に悪い! そんな風に呼ばれたらちょっと色々妄想──……い、いや違う! そんな」
「秀司さん」
「!」
「──で、いいですか」
「……」
「名前でもダメ、ですか」
「……あ……ううん。その、ように」
「分かりました」
「……」
少しからかってみようかなと思ったけれど予想以上の反応に思わず声を上げて笑ってしまいそうになった。
(面白い、この人)
私よりも一回り以上も歳上なのに全くそんな風には見えない。私の問い掛けにいちいち顔を赤らめてオドオドしたりしている。
そんな態度から何となく(女の人に慣れていないのかな)なんて思ったりした。
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