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「今日は疲れたよね。お風呂に入ってサッサと寝ようか」
「はい」
「じゃあさっちゃん、先に入っておいで」
「……」
「ん? どうしたの、僕の顔に何かついてる?」
「一緒に入らないのですか?」
「は?!」
「夫婦って一緒にお風呂に入るものじゃ」
「な、なななない! ないないないから! な、何、その偏った夫婦論」
「違うんですか。じゃあ一緒に寝るのは」
「寝ない! さ、さっちゃんにはちゃんとさっちゃんの部屋があるから!」
「……」
「──あのね、さっちゃん」
「はい」
「僕たちは一応夫婦という形にはなったけれど、その、僕はさっちゃんを……そ、そういう対象では見てはいけなくて……」
「そういう対象?」
「その……夫婦だから当然あっていい行為、というか、その……い、営み、というか」
「セックスのことですか」
「!!」
「秀司さん、変な気遣いは要りません。私、ちゃんと妻としての役目は果たす覚悟で嫁ぎました」
「なっ!」
「だからいいんです。私を世間一般的な妻として扱っても」
「~~~っ」
私には結婚するまでにそれなりに色んな葛藤があった。勿論叔母のいうことに逆らったり拒否したり、本気で嫌だったら拒めた結婚だった。
だけど秀司さんとお見合いをして、それなりの期間秀司さんを観察してその人となりを徐々に知っていった。
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