不死の薬

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「斎藤紋十郎だな? 来てもらおうか」  袴と羽織、腰に帯刀されている様子――武士だ。  三人の武士に囲まれて紋十郎の額にはじわりと汗がにじみ、言われるがまま武士たちについていった。    行先は藩主の屋敷だった。そして、その内部の藩主がいる部屋まで連れていかれた。  部屋の中には十数人の武士と藩主がおり、その重苦しい雰囲気に紋十郎は思わず固唾をのんだ。 「お前が斎藤紋十郎か。話には聞いておる。加賀藩をお主の手で血に染めたとな……違うか?」 「違います!」  ずんと腹に響くような藩主の太い声とは対照的で紋十郎の声はか細いものであったが、その意思は部屋の中にはっきりと伝わった。 「ほお……違うというのはどう違うのだ? お前は虚言により多くの命を奪ったのだろう。これをどう弁明する? 話だけは聞いてやろう」 「虚言ではございません! 『不死の薬』はございます!」 『不死の薬』 その一言が発せられた瞬間、部屋の中がざわついた。
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