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「...っ」
案の定外は真っ暗闇である。
引き戸を開けた隙間にだけ自室の明かりが漏れるだけで、その左右の細長い廊下は夜目を使わないとよく見えない具合だった。
メユは左右を確認した後、正面にひとつの黄色いピンボールが落ちているのがわかった。
これは祖父の趣味の卓球であった。
引き戸を出てすぐ左には棚が置いてあり、そこには卓球大会の表彰状と祖父の使ってた両面ラケットとピンボールが置かれているのだ。
そのピンボールが音の原因だったのだ。
「...っんぐ...」
唾液を飲み込む。
大輝はここにはいない。
「...あーもう、これだから立て付けが悪い家はっ」
_______ぶんっ、ぶんっ
「...っ」
___メユの動きがピタリと止まった。
と同時に、ぶぉんぶぉんと言うような、木製の廊下が音を立てて小刻みに揺れ始める。
それは足音のように、リズムを刻みながら近づいてくる。
「(これは、これはだいにい、だいにい、だいにい!)」
音が変わってきた。
その振動は既にビリビリと足元を揺らす。
その廊下の角を曲がれば______
「(だいにい...っっ!!!!)」
白い大きな悪霊
ばんっばんっばんっばんっ
「__________っっ」
「おぁああああぁあああッッ」
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