5限を乗り切る処方箋

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【登場人物】 D:先生D B:大富くん C:学級委員長 翌日の5限。 D「一昨日宿題にしてたところやってあるかー?」 Dはちょっと怖い。BとCはひそひそと話す。 C「大富くん、宿題やってきた?」 B「大丈夫だ」 C「なら良かった」 B「手は打ってある」 C「やってないんじゃん!」 B「これはうっかり七兵衛だわ」 C「それ言うならうっかり八兵衛でしょ。あと一兵衛どこ行ったの」 B「今日、9月4日だよな?」 C「うん、だから4番の大富くんが——」 D「今日は9月4日だから、4番の大富から。「春はあけぼの」から現代語訳を句点ごとに」 B「あー先生」 D「どーした」 B「腹痛いんでトイレ行ってきます」 C「え? 顔色悪っ! さっきまで元気だったのに!」 B「弁当に下剤仕込まれた~」 C「今日は下剤……」 B「やりやがったな」 C「だから、なぜ私を疑う」 D「ほんまの腹痛ならさっさと行ってこい。こんなとこで漏らされても困るわ」 B「はいさーせん!」 B、足取り悪く教室を出ていく。苦痛に悶えるも、笑顔にも見える。 C、Bの机の横に掛かっている弁当箱の入った手提げを見る。手提げの口は開いている。 D「あいつ、宿題やってない出まかせやと思ったけど、あの顔はマジやったな」 C「まさか、捨て身の作戦? 分かってて食べたの?」 D「弁当に下剤て、んなもん入っとるかい」 C「下剤っていうか……」 D「弁当に傷んだもんでも入っとったんとちゃうか?」 C「傷んでたのに……」 D「まだまだ暑いからな。みんな食中毒とか気を付けろよ」 C、もう一度Bの弁当手提げを覗く。そして、小さく独り言つ。 C「保冷剤も入ってないじゃん」
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