5限を乗り切る処方箋

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【登場人物】 E:先生E B:大富くん C:学級委員長 そのまた翌日の5限。 E「そして、この加速度の単位の読み方は、メートル毎秒毎秒です」 B「先生!」 E「はい、何でしょう」 B「昼休みに薬飲み忘れたんで、今いいっすか?」 C「あれ? 大富くん、薬なんて飲んでたっけ?」 B「お爺に勧められて」 C「主治医みたいに言ってるけども……」 E「仕方ありませんね。どうぞ」 B「あざーす」 B、鞄から白い紙袋を取り出す。 C「なんの薬?」 B「これ飲まないと禁断の症状が呼び覚まされてしまう」 C「中二病の抑制剤かな」 B「闇の組織から手に入れたんだぜ」 C「違法な臭いがするんだけど……」 B、Cを見て「?」という顔をしてみせる。そして、紙袋の匂いを嗅ぐ。 C「違法の匂いってそういうんじゃないから」 B「遺る芳しさとはこれ如何に」 C「そっちの遺芳!?」 E「大富くん、そういう事はよく知ってらっしゃるのねえ」 B「量はこれくらいかな」 C「用量、目分量なの?」 E「お水は要らないんですか?」 B「大丈夫っす噛むタイプなんで」 C・E「噛むタイプ?」 B、白い袋から口に運んでボリボリ食べ始める。 C「めっちゃラムネの匂いするんだけど!」 B「失敬な。錠菓って言ってくれ」 C「薬じゃないじゃん!」 E「大富くん、授業中にお菓子はいけません」 B「これはある生理現象を抑制するために必要なんだよ」 C「つべこべ言わないでしまいなさいよ」 教室中にお腹の音が鳴り響く。 B、わざとらしくCを見て、わざとらしく言う。 B「お、俺じゃねえよ!」 C「私!?」 B「一粒ジョウザイって言ったらあげるよ(笑)」 C「バッカじゃないの!」 B「早弁したから腹減っててよお」 E「大富くん、没収です」 E、Bの席へ行く。 B、鞄から瓶を取り出す。 B「先生、それ以上近づくと、これを開けますよ?」 C「なになになに! なんの薬品!?」 B「これを開けると、大変な事になりますよ?」 C「硫酸とか入ってないでしょうね!?」 E「まさか化学室から持ち出したんですか?」 C「もうテロじゃん!」 B「持ってきたのはうちからっすよ」 C「大富くんのお母さん、ほんとにただの薬剤師でしょうねえ?」 B「それはほんま。ほらこれ、ラッパのマーク」 C「なんだ、正露丸じゃん」 B「下痢が収まるまで持っとけって、おかんが」 C「なにもかも大富くんが悪い」 E「授業が進みません! 今すぐ鞄にしまいなさい!」 B「ほーい」 B、やれやれと片付ける。 C、Bに小声で話し掛ける。 C「授業終わったら一粒ジョウザイ」 B「なんだ。やっぱ欲しいんじゃん」 C「もっと分かりやすく庇ってくれたら良かったのに」 B「委員長が弁当と財布忘れるなんて珍しい。言ってくれりゃあ購買に行ける金くらい貸したのによお」 C「大富くんなんかに借金したくないから。一粒で我慢する」 B「我慢なんかすんな」 C「うん……ありがとう」 B「……おう」 BとCの雰囲気が良くなる。 B「くせえから気を付けて開けろよ」 C「そっちじゃない!」 C、💊と笑ってツッコむ。
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