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Episode2 静けさの反抗
「レディースエンジェントルマン」
大統領は高々にそう叫び、演説の観衆に自分の威厳を見せつけた。
演説会場には多くの人が集まり、皆大統領に興味津々だった。
「今日においても遂行している戦争は我が国の未来を導くものだ」
「やがては千島の国をも占領し、やがては」
そこまで言うと息をたっぷりと吸い込んで
「富が訪れる」
そう断言した。
観衆は気味の悪いなるほどに静寂だった。
それは大統領があまりにも、わかりやすすぎた常識を謡っているからだ。
ご飯は食べるもの。
それに誰が賛同や反対を向けるのか。
この戦争の先に富があるのは当たり前だった。
「これに、何か意見するものはいるか」
大統領は観衆に目を向け、隅々まで観衆をチェックした。
意見したからといって粛清されるわけではない。
しかし誰も付け加えるということはしなかった。
国がやっている事=正しい
常識だった。
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