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Episode4 幻想なんだよ。
家まで3キロはある道のりも長くは感じなかった。
ただ呼吸は未だかつてないほどに乱れ、マルクスの焼けた姿が頭に浮かんだ。
恐怖。もあったが疑問を生まれた。
富とは何か。
「おじいさん!!」
家に着くと大声で叫んだ。家についてようやく足の怪我の痛みがずしっと体に響いた。
「ペルー、無事だったか」
階段から降りてきたおじいさんは一気に脱力し、ペルーにもたれかかった。
「酷い怪我だ。そこに横になってなさい」
今日はおじいさんの顔が頼もしく見えた。
おじいさんはペルーの足に包帯を巻き、ホットミルクを差し出した。
「ねぇおじいさん」
ペルーは幼い声でおじいさんの耳元に囁いた。
「この戦争は何が目的なの」
泣くつもりはなかったが、マルクスのことを急に思い出し、少し涙声になってしまった。
少し間を置いて、おじいさんが口を開いた。
「この戦争の名前はなんだっけな」
「そう」
「世界平和」
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