Ⅱ 妙薬の秘密

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「──なるほどの。かの名高き護教のための騎士団さまが、今はそのようなことになっておったか……いや、時代は変わりましたな。わしのような田舎者はとんと知りませんでしたわい」 「いえ、まだ改革を始めたばかりですからね。エルドラニアでも知っている者は、無能なために除隊させた貴族の子息と、それを恨んで嫌味を言ってくるその親族ぐらいのものでしょう」  国王の命により、羊角騎士団が海賊討伐の精鋭部隊に再編されつつあることを聞くと、最初は驚くもだいたいのところは老医師は理解する。 「だかのう、わしのような者と修道騎士団ではもとより水が合わぬぞ? その団長殿に言うのもなんじゃが、正直、頭の硬い教会の連中をわしは好かんからの。いくら海賊討伐に仕事が変わったとはいえ、その教会を護るために組織された騎士団ではのう……」 「なあに、それも心配ご無用。団長の私からしてほら、このように古代異教の魔法剣を()いてますし、むしろ今の羊角騎士団は教会の教えに反するような団員揃いです。例えば……そう。そこのメデイアなどもともとは魔女ですし」 「だ、団長…!」  それでも良い顔はせぬ老医師アスキュールに、腰の愛刀を見せつけながらハーソンが団員の実情をさらに説明し、加えて、その火炙りにすらなりかねない出自をさらっと曝露してくれる彼にメデイアが慌てた時のこと。 「()医師アスキュール・ド・ペレスはいるか!?」  不意にドン! ドン! と入口の扉がけたたましく叩かれ、そんな大声が外から聞こえてきた。
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