3人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
あたしの幼馴染み、岩田剛くんは、にちょにちょしている。
岩田だから、みんなには、ガンちゃんと呼ばれている。
岩ちゃんは、イケメン高校生なのに、残念な男子だ。
岩ちゃんの性格が、非常に残念なのだ。
例えば、調理実習の授業で、岩ちゃんは、トマトを切る時に、どう切るか迷いまくって、その手の中で、トマトは、にちょにちょドロドロになってしまった。
一事が万事、そういう風に、岩ちゃんは、思いきりが悪い。
つまり、にちょにちょ、いつまでも悩んでいるのだ。
「岩ちゃん、これからの人生、思い切って飛び込まないといけないこともあるよ」
あたしは、海浜実習で、海に飛び込むのを躊躇って、おろおろしている岩ちゃんに向かって言った。
「だって……怖いもん。失敗したら……」
「岩ちゃん、人生は、失敗して、なんぼだよ」
あたしは、そう言って、鼻をつまんで、海に飛び込んだ。
海の中から、あたしは、岩ちゃんに言った。
「おいでよ、岩ちゃん。あたしがいるから、怖くないよ」
岩ちゃんは、青い顔をしていたけど、決心したように頷くと、海に飛び込んだ。
「ほら、大丈夫でしょ?」
あたしがそう言うと、岩ちゃんは、バタバタ泳ぎながら、頷いた。
「う、うん。なんでも、やってみないと分からないんだね」
にちょにちょ岩ちゃん。
人生は、これからだよ。
おわり
最初のコメントを投稿しよう!