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これは、高校2年生の僕が夏バテしそうになって、近くの喫茶店で涼んでた時の話だ。 僕はいつも通りスマホをいじっていた。 その時だけでなく、いつ如何なる時であっても、僕の人生はスマホをいじること以外に人生の楽しみがなかった。 というのも、僕の世代は小学生の頃からスマホがある世代で、僕には友達という友達がいなかった。 というわけで、小学生だった僕はスマホゲームや3DSのゲームをする日々に明け暮れた。 中学生になると、今度はYouTubeとやらにハマった。 SNSの蟻地獄から抜け出せなくなった。 そして、今に至るわけだ。 つまり、何が言いたいかというと、今日までは、僕の人生はその程度のものだ…と。 そう。 今日までは。 後から分かることだが、この今日という日から、僕の人生は激変することになる。 それは、これから先の展開を見たら分かるとだけ言っておこう。 (……………) 僕が涼み始めてから数分が経った頃、元々たくさん人が入ってきていたこともあり、席が僕のテーブルのもう一つの席を除いて、満席になった。 というわけで、必然的に、その席に人が座ることになった。 その人は同年代の女の子だった。 もちろん、僕はその女の子が可愛いな、と思っても話しかけれない。 でも、もしその女の子が僕と特別な関係にあったことを気づいたら、どうだろう。 彼女の名前は河田晴香。 親の転勤が原因で離れ離れになり、それが遠因となり別れることになった僕の昔の彼女だ。 でも、僕らは仲が悪いわけではなかった。 そんな河田晴香が目の前にいたのだ。 そして、河田晴香の目の前に僕がいたのだ。 彼女はそのことに、僕より先に気づいた。 そして、晴香は言った。 『もしかして…透君?』 僕は、名前を呼ばれた時、あまりの衝撃に、思わず手に持っていた角砂糖を珈琲の中ではなく、皿の縁に落としてしまった。 でも、少しして理解した僕は笑って言った。 『本当に久しぶりだね。晴香』 もうわかっただろう。 何故僕の人生が激変するかって? それは… その日、たまたま、喫茶店の席が足らなかったこともあって、同じテーブルを共有することになった元カノの晴香と意気投合することになったからだ。
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