【2】学校が嫌い?

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 その言葉を初めて言われたのは、3年生の時だった。  よく一緒に登下校していたクラスメイトの2人が喧嘩をしていて、止めなくちゃと思って間に割って入った。そうしたら、2人とも怒った顔でわたしの方を見て、ひとりの子が言ったのだ。  『萌子は関係ないじゃん!友達同士で話してるんだから、入ってこないでよ!』  言われて、はっとした。ショックとか悲しいとか、そういうことよりも、気が付いたという方がしっくりくる。  ーーーああ、そっか。友達だと思ってたのは、わたしだけだったんだ。  そう思ったら、もう何も言えなかった。  その子たちからしてみれば、わたしはただのクラスメイトに過ぎなかったんだろう。考えてると、わたしが知らない話もよくしていたし、2人だけで遊んでいたのを後日聞くなんてしょっちゅうで、言われる前からうすうす感じてはいたんだと思う。だからこそ、自覚しないように目を背けていたのかもしれない。  友達だと思っているのは、仲が良いと思っているのは、わたしだけかもしれない。話しかけるのも、迷惑だと思われてるかもしれない。きっと、みんなそうなんだ。  そんな風に思えてしまったら、もう抜け出せなくなって、段々と人と話すのが苦手になった。周りの話に入っていけなくなって、いつの間にか顔を見ることさえできなくなっていた。  プラントが見えるようになって、ミズキちゃんやハナちゃんと友達になれて、すっかり別人になれたような気でいたけれど、そうじゃない。わたしは人の頭に植物が見えるけど、それは心が読めたり考えてることがわかるわけじゃない。プラントに嫌がってる様子がないからって、相手の気持ちも考えずに踏み込んでいいわけないんだ。  そんな大事な、当たり前のことを忘れかけていたなんて。プラントが見えるのは、たぶんわたしの長所だけれど、油断すると短所にもなってしまうんだと、誰かに言われた気がした。  教室に戻ってからも、次の日になって学校へ来た時も、比奈森さんはいつも通りの笑顔で過ごしていた。頭の上の葉っぱや青い蕾は、彼女が明るく振る舞うほど弱っていったけど、わたしは話しかけることもできなかった。  今日は植物係の当番の日だから、それを理由に声をかけようかとも思ったけど、比奈森さんはお仕事があるのか、お昼休みの間に早退してしまっていて結局叶わなかった。
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