蝉鳴く頃に君想う

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 僕は自販機でポカリスエットを買い喉を潤していると健斗が現る。 「おはようございます」 「おはよう」 「あれ、今日は早いな」と、驚いた様子の健斗に言葉を返す。 「俺にも学習能力はある。同じ失敗はしないよ」 「それもそうか。所でオーナーは」 「オーナーは奥の事務所だよ」 「じゃ、俺は指示聞いて来るよ」健斗はそう言うと奥の事務所に消えていった。  僕はポカリスエットを飲み干すと、早速焼きそばと焼きイカの準備を始めていた。すると美玖が現れ挨拶を交わす。 「達也おはよう。昨日はありがとね。楽しかったよ」 「あっ、美玖さん。おはようございます。こっちこそです」 「だから、美玖だって」美玖はそう言うと笑みを零し事務所に消えていった。それと入れ替えで健斗が戻ってくる。 「俺も達也と焼きそばと焼きイカだってよ。てか、あの娘と話していなかった」美玖と話しているのを聞いていたのか。興味深々といった様子の健斗が食い気味に聞いて来る。 「ああ、美玖さんね。話したよ。昨日夜にコンビニであってさ……」僕は健斗に昨日の経緯を自慢げに話をすると、健斗は目を輝かせて聞いていた。 「いいなぁー、それ羨ましい。俺、原チャなのが恨めしいよ」健斗はそういいながら本当に悔しがっていた。ぼくはそれを笑って誤魔化していた。そこに美玖が戻って来てソフトクリームとかき氷の準備を始める。僕は時折美玖の姿を眼で追いながら準備を続けていた。それに気付いた健斗が小声で話掛ける。 「お前さぁー、あの娘に惚れただろ」 「なっ、何急に変なこと言うんだよ」 「けど、お前。あの娘の事目で追ってるしさ。好みなのは昨日の様子から間違いねーし」健斗の鋭い指摘に僕は言葉を失っていた。 「図星だな。お前、本当解りやすいよ」確信する健斗。そんなやり取りをしているうちに海の家の開店時間に成り僕らはバイトに勤しんでいた。バイトの間も隙を見ては美玖の姿を追っていた。この日も帰りにコンビニによると美玖の姿があり僕は話し掛ける。 「美玖さん。こんばんは」 「こんばんは。達也。やっぱりさん付けなんだね」みくさんはそう言うと笑みを零す。それが僕には眩しく映っていた。 「今日も良かったら乗って行きませんか」 「おっ、良いね。けど、今日はあれで来てるから2台で走ろうよ」そう言うと美玖はライムグリーンのZZに向かい指さす。 「えっ、美玖さんもZZなんですね。色違いですが凄い偶然ですね。それじゃあ2台で流しましょうよ」 「そうだね」そう言う美玖さんと共にコンビニを出るとバイクを走らせ30分ほど流した所で解散していた。 逢えば逢うほどに僕は美玖さんが好きになっていた。
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