ベルガの閃き ~ベルガ視点~

2/2
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「ゆ、勇者だからな……」 「お前、弱み握られてんじゃねーの?」 「ち、ち、ち、違うぞ!! 断じて、スカートめくりを暴露されそうになったからじゃないぞ!!」  我が幼馴染はニヤリとスカートめくりねぇとつぶやいた。  …………俺のバカ。 「で、魔王を倒しに魔王城に行くと……自殺行為じゃん」  腹を抱えてケタケタ笑うシンに、薄っすら殺意が芽生えそうになる。  幼馴染の命が危ないのに笑いやがって。この笑い上戸め! 人の事何だと思ってるんだよ。 「お前も行くんだからな」 「……はっ?」  シンは一瞬で真顔になり、俺をまじまじと見た。 「え? 良く聞こえなかった。も、一回、言って?」 「お・ま・え・も・い・く・の!!」 「嫌です」 「決定です」 「なんでっっ!!」  理不尽に命令を受けた数時間前の自分を見ているようで、俺はほくそ笑んだ。 「国王命令だから」 「サザールめっ」 「俺、一人じゃ死にます。って文句を言ったら、シンも連れてけ。だってさ。魔法戦士だから、あいつは便利だろ? だってー」  俺がニヤニヤしていると、シンは恨めしそうに俺を凝視する。 「俺を便利扱いするな……」 「というわけで、君もお仲間なわけだ」 「サザール、幼馴染の俺達の扱い雑じゃね?」  さっきまで笑い転げていたとは思えないほど、ムスッと不服そうな顔で恨み言を吐き出すシンに、俺は鼻でふっと笑った。 「幼馴染だから気が置けないんだろ……」 「気が置けないから魔王倒せ、は納得いかねー」 「そこなんだよ! 俺さ、魔王を何とかしろとは言われたけど、倒せとは言われてないんだわ」 「でも、お前、魔王城行くんだろ?」  お前もな! と言いたいところだが、拒否られ話が元に戻りそうなので、ここは黙って話を進める。 「ああ、魔王が行動を起こす前に俺から向かうって訳だ」 「…………最弱勇者のわりに豪胆(ごうたん)だな。先手必勝ってやつか?」 「最弱は余計だろ! 戦いは挑まねーよ」  俺の台詞に首を傾げるシン。 「じゃあ、何しに行くんだよ?」  さっき思いついた名案を俺は自信満々に披露する。 「ご機嫌伺いだ!」  ……  ……  …… 「…………はい?」  
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!