シンの気苦労 ~シン視点~

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シンの気苦労 ~シン視点~

「全部経費で落とせるからな! 魔王の好物はわからないし、ジャンジャン買おうぜ。ジャンジャン。あ、領収証もらってこいよ」  ホクホク顔のベルガは、あちこちの菓子屋でプリンとゼリーとチョコとケーキとクッキーとシュークリームと団子と饅頭を買い込んだ。  なぜ甘いものだらけなんだ? これ、お前が食べたいやつじゃね? 魔王の好物が人間だったらどうするんだよ!  恐ろしい考えとベルガのニヤリと笑う姿が脳裏をよぎる。  お前も手土産のひとつだよ?  言いそう。こいつは言いそう。いざとなったら俺を犠牲にして逃げるだろうな。逃げ足だけは早いんだよ。こいつはっ! 「シン、ちゃんと道案内しろよ!!」  ベルガは俺に地図を渡すと、魔王城に向かって意気揚々と歩き出した。 「やっぱり、シンを連れてきてよかった。荷物も持ってもらえるし、地図も読めるし、手土産も用意できたし、な!」  楽しそうなベルガの台詞に俺はブルリと体を震わせる。  手土産…………って、俺じゃないよな?  願わくば、魔王へのご機嫌伺いが穏便にすみますように……って、このご機嫌伺いって作戦、本当に上手くいくのか?  ………………不安だ。
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