夏が終わっちゃう

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 そんな私の呪いに近いような願いが通じたのか、浴衣を着ていく機会、いきなりあらわれました。それは・・・  会社の納涼祭が今年、久しぶりに開催されることになり、浴衣を着てきた社員にはプラスアルファの賞品が当たるかもしれない特典付きと社内告知があったのだ。賞品のラインアップもそこそこ良いらしいという信ぴょう性のある噂も流れてきていた。  今回の納涼祭、コロナ後ということもあり、飲み食い食べ放題が無料、お土産つき、ついでに賞品も当たるかもときたものだから。俄然、皆さん、どんな浴衣を着るかで盛り上がっております。  それは勿論女性社員だけじゃなく、男性社員も対象なので、疲れたスーツ姿しか想像できない幅広い年齢層もちょっとだけザワツイテいる。 「内藤さんも着ますか、浴衣?」  同じ部署の江上さんとの社食ランチでも聞かれちゃうくらいトレンドな話題なのだ。ちなみに彼女は私より3つ下の25歳。 「私も着ていいものなのかなぁ?」 「何言ってるんですか。内藤さんも着ましょうよ。私の同期とか定時あがりを前提に美容院予約入れたって言ってますし」 「気合入ってるなぁ」 「へへっ、私も予約済で。実はお目当てがいるんですよ、社内に。こんな機会じゃないと話しかけられないし」 「なるほど、なるほど。そういうことね」  道理で気合も入るわけだ。社内恋愛は上手くいってる時は楽しいもんね。
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