恋のはじまり

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恋に落ちるってどんな感覚なんだろう。 落とし穴でもないのに。 『落ちる』なんてマイナスの印象の言葉のはずなのに、すごく憧れてしまうのは何故なんだろう。 テレビのバラエティ番組に映る幼稚園くらいの子どもたち。 「ぼくたち、おおきくなったらけっこんするの」 小さなカップルが手を繋いで嬉しそうに言っている姿。その年齢で私の知らない感情を知っているんだろうか? 小学校の時のクラスメイト。 「誰にも内緒だよ。私、○○くんのこと好きなんだ」 体育館の裏でこっそり教えてくれた。あの時の顔も可愛かったな。 恋をすると、景色がいつもと違って見えるって本当? 漫画や小説のヒロインは、まっすぐで一生懸命。キラキラ輝いてドキドキするような毎日。 ヒロインの邪魔をするライバルだって、いいなと思ってしまう。 だって、あんなに我を忘れてしまう程夢中になれることがあるなんて、素敵だと思いませんか? 人の嫌がることをしたいわけではない。 でも、やってはいけないとわかっていることをやめられないくらい心奪われるなんて、想像がつかない。 好きって、どんな気持ちなんだろう。 もう中学2年生になったというのに未だに恋を知らない私は、もしかしたらおかしいのではないだろうか? 中学生になったら、誰でも自然に誰かを好きになるものだと思っていた。 どうして、私は未だに恋をしていないのだろう? 皆はどうやって恋を始めたのだろう? もしかしたら、私が自分の気持ちに気づいていないのかな? 皆はいつ、どんなふうに恋をしているって気づいたの? 何か、合図みたいなものはあるのかな? はっ! そんなことをウダウダ考えていたら、昼休みが終わってしまった。 次の授業は数学だ。最悪。一番眠くなる時間なのに。
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