恋のはじまり

私の夏休みは、特に大したことはない。
なるべく7時頃は起きて、家族で朝食を食べる。
その後はスマホで小説を読んだり、昼食のレシピを探したりする。

弟の翔真(しょうま)とも相談してメニューを決めたら、冷蔵庫をチェックして足りないものを確認する。
スーパーの開店時間を見計らって買い物に行き、お母さんに頼まれたものも買う。

お母さんは、週5でスーパーのレジ打ちのパートをしていて、9時くらいに出掛けて14時過ぎに帰ってくる。

私が小学生だった時の長期休みは、お母さんが私たちの昼食を作ってから出勤していた。
だけど、去年は自分たちで冷凍食品とかレトルトを食べるから、と提案してお母さんを喜ばせた。

そして、今年は私の気が向いた時に自分で簡単な物を作ることにしたのだ。もちろん、冷凍食品やレトルトの時もある。

スーパーで買い物を済ませ、自転車で帰宅する。ギラギラと照りつける太陽のせいで、通行人はほとんどいない。

太田くんは多分部活だ。暑い中頑張ってるんだろうな。元気かな？
こんな道の途中で、バッタリ会ったりできたらいいのに。

帰宅すると、サラダうどんを作る。
電子レンジで温めた冷凍うどんを洗う。そして、温泉たまご、ちぎったレタス、適当に切ったきゅうりとトマトを乗せる。かつお節と海苔を振りかけて、めんつゆもかければ完成。

太田くん、お昼御飯は何かな？　お家で食べるのかな？

昼食の片付けを済ませて少し休憩すると、仕方なく夏休みの宿題に取りかかる。

太田くんは、どの教科からやるのかな？　やっぱり数学かな？

お母さんが作ってくれた夕食を食べたら、週の半分は徒歩5分の場所にある塾の夏期講習に行く。

太田くんは、私とは違う塾だ。一緒の人、いいな……。

私の夏休みが1日ずつ過ぎていく。

今年の夏は不思議なことが一つだけ起こった。なぜか、数学の勉強が少し嫌でなくなっのだ。

後は、家族と旅行に行ったり、愛莉ちゃん達と宿題したり。
時々、ちゃんとした昼食やお菓子を作ることもある。
もちろん宿題もやるし、塾にも行く。数学の勉強もする。
そんな普通の毎日。

夏休みを楽しんでいたら、あっという間に1回目の登校日になってしまった。