第1章 姉の婚約者

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「今なんて言いました?」 わたしは目の前の男の言葉が信じられなくて、思わず聞き返していた。 「だから、彼氏といつ別れるのかって聞いた」 しれっとした表情でわたしを見下ろすのは、180を優に超す意地悪そうな笑みを浮かべる男。 きちんとセットもしていないだろう頭なのに、自然体でとてもなじんでいるようにも見えるこの男は、姉の婚約者だ。 「どうして松葉(まつば)さんにそんなことを聞かれないといけないんですか?」 だってあなたは姉の婚約者。 わたしと彼氏のことなんて関係ないのに。 「気になったから聞いた。ただそれだけ」
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