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「えっ!?」
突然姿を現した同僚に驚いたのか、リズはパッと手を放す。
ほっとしたような顔をして「セシリー」と呟いたエドワードを見て、わたしは何だか泣きそうになった。
かわいそうなエディ……。勝手に大きいことにされて。
「や、やだセシリー、どうしてここに」
「ギャラリーに行こうとして通りかかっただけだけど?」
普段は波風を立てることのない〝優しいセシリー〟の珍しく挑戦的な態度に戸惑ったようなリズに、わたしはきっぱりとした口調で言った。
「彼を追いつめないで!」
「は……?」
「大きさなんて、どうでもいいことよ!」
わたしはそう言い放つとエドワードの腕をつかみ、呆然としているリズを残してどんどん廊下を歩いていった。
「セ……セシリー?」
ぐいぐい引っ張られながら、エドワードは困惑したような声を出す。
「最近はいつもよそよそしいから声を掛けてくれたのは嬉しいんだけど、どうして……」
「だってっ……」
角を曲がったところで立ち止まってエドワードの顔を見上げると、さらに感情がこみ上げてきてしまった。
「み……みんなして素晴らしいことみたいに大きい大きいなんて言ったら、そうじゃないエディは辛くなるだけなのに……」
「セ、セシリー?」
「本当にごめんね……リックの鎧のせいで」
「えっ?」
「男性の価値なんて、そんなところの大きさでは決まらないからねっ……!」
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